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『TORA TORA TORA TORA』

座談会 大阪編/全文 書き起こし

日時:2022/10/15 13:00~

会場:FOLK old book store

ーイラストだけの本が作りたい。文章の本が中心だからこそ(kiken)

東南西北kiken(以降:K)この座談会にのぞむにあたって、寺田さんの昔の『mikiki』のインタビューを見ていたら、井手さん※1とめっちゃ楽しそうに喋ってるなと。前髪がない時代でしたね。

寺田燿児(以降:T)七三のね。

K 寺田さんは、私が大学にいた時に軽音部の部長だったんです。その時はすごいロングヘアでしたよね。ワンレンみたいな

FOLK old book store 吉村祥さん(以降:Y)  ボディコン?(笑)

T ボディコンではない。

 

K コンシャスではない。

 

T そんな時代もありましたね。

 

K そこから10年経って、寺田さんと喋ることがあるとは思ってなかったですよね。

 

T 僕、東南西北kikenのこと学生時代知らなかったんですよ。

K でも多分1回ぐらいは喋ったことあるんですよ、通りすがりみたいな感じで。

Y どういう経緯でこの一作目『Dark Continent』を出すことになり、声かけたのか聞きたいですね。元々、絵を描いてたのは知ってたの?

 

K 実は、そこを全然思い出せなくて。遡ったら4年前にメール送ってたんですけど、その前に大阪展オープニングで白塗り出演していた金子さん※ 2に紹介してもらって繋いでもらったみたいです。でも、どうやって寺田さんが描いていた『Dark Continent』を見つけたのか全然覚えてなくて。

大阪展オープニングイベントの様子

Y 東南西北kikenはその頃にもう出版とかを考えていたんですか。

 

K そう、なんかむしゃくしゃしてたんです。イラストだけの本が作りたいと思って。その時は漫画を作りたいと思ってるわけじゃなくて、イラストを中心にしたものが作りたくって。今でもそうなんですけど、世の中って文章が中心の本で、ジャンルって図られるじゃないですか。理工書とか、何か文芸書とか芸術書とか。文章の本中心で枠組みが決められているから、私はイラストだけでジャンルを表現するような本作りができないかなみたいなことを考えてて。妄想というか、それで何か実現できるとかじゃないんですけど。なんとなくそういうこと考えてて。

 

Y 反逆精神だったんですね。

 

K そうですね。多分2018年くらいからそういうことを考えてて。寺田さんの絵を見たときに、「めっちゃいいな」ってなって。どこかから何か出そう(出版しよう)って話とかあるんだろうなと思って聞いたら、ないです、って言ってくれて。

 

T 全然、あるわけないじゃん。

 

K タッチと独特の世界観が好きだったんですよね。ストーリーもですけど。あと街の描き方とかも好きでしたね。

 

Y デザインが効いてますよね。

 

K うん、何か映画的な。

 

Y 構図とかもそうですよね。

ー初めて描いた漫画は『オズの魔法使い』のパロディ。姉の同人誌に掲載した(寺田)

 

K 寺田さんが参照してきたもの、蓄積してきたもの。いろんな見てきたものが、ここに結実してるんだろうなと思って。そんなことを感じさせる、何か惹かれるものがあって。それで連絡をしたんですけど。久しぶりにTumblerを見ていたら、それより前に出した作品をアップしてたんですよね。でも、今見たらもう消えてて。それが第一作目ですか? これまで、どれくらい描いてるんですか?

 

T 何かありましたっけ? ……ああ! 大学生の時のやつですね。中2の時に文化祭で演出した演劇があったんです。それの漫画化を大学の時にやって。

 

K どういう演劇なんですか。

 

T タイトルは『砂漠』、サブタイトルが『オズの魔法使い』ですね。オズの魔法使いをパロって、砂漠で迷った登場人物が、猿とか生首を手に抱えているやつとか、4人ぐらいのキャラと一緒にいて。砂漠で迷ってたら、ある1軒家を見つけるんです。そこに泊まったら、家の人が鬼だったっていうオチ。逃げ出そう!って、話ですね。

 

K ロシアの民話にババヤガーって、出てくるじゃないですか。鳥の足がついている家に住んでいる魔女。『ヘンゼルとグレーテル』もそうじゃないですか、訪れたら魔女が住んでいて。

 

T 『三枚のお札』とかもそうね。それを22歳くらいの時に描いて、それ以来でしたね。

 

K それ見たいですね!

 

T 姉が同人誌を作ったんですけど、それに入ってます。昔、いろんな漫画家を集めて『漫画レジスタンス』(resistance=抵抗)っていう漫画を作りました。

Y 兄弟ですね(笑)

 

T 血ですね。ちなみにその漫画には、兄の漫画も入ってます。

 

K 兄弟ZINE!見たい!今あるんですか?

 

T 東京の家に一冊だけあります。

Y 描いた漫画を人に見せるのが恥ずかしい、みたいなのはなかったんですか。もう見せられる環境にあった?

 

T そうですね。

 

K ご兄姉と仲良しですね。普通だったら、自分が描いた漫画なんて見せたくないし、逆に弟とか誘わないと思う。お母さんも知ってるんですか?

 

T 知ってます。

 

K 家宝やん!

 

T ただ、姉が描いていた漫画が、クマちゃんが結構エログロを繰り広げるってやつで(笑)。それを祖母が「こりゃあ内容はよう分からんが〇〇(姉)が作ったんかぁ頑張ったのぅ~、漫画、ちゃんと描いとるんじゃのう」って感心してて。気まずぅ~みたいな(笑)

 

K すごいアットホームな環境ですね。

 

Y 描き続けるには、環境って大事なんですね。初期衝動は大事です。

 

T 『Dark Continent』は最初の方、コピー用紙の裏紙に描いてましたもん。消すの大変でしたから。

 

K フォトショップの消しゴムで消しまくりましたから(笑)

 

Y 裏側に透けてるってことですか。

 

K そう。あと、消し残りもすごい残ってるという。

 

Y 『TORA TORA TORA TORA』でグッと落ち着いたというか。

 

T 『Dark Continent』は、フリクションボールで書いてたからもう今頃消えてるんじゃないかな(笑)。今回の『TORA TORA TORA TORA』は消えないペンで描きました。

 

Y キャラクターの目(の描写)が『Dark Continent』とは違いますね。

 

T ちゃんと描こうと思って。

 

Y キャラクターもかわいかった。ちょっと記号っぽさというか、キャラクターというか。そのアプローチがいいですよね。装丁デザインもいいですね。

 

T『TORA TORA TORA TORA』の表紙デザインは、僕も提案しました。

 

K この猫の絵を使うってのは決まっていて。

 

T FOLKにも置いてあったんですけど、カバーがダンボールのままの本(『広告』Vol.415 特集:流通)あるじゃないですか? あれを、写真で送ったんですよ。

 

K ちょうど私の中にクラフト紙のブームが来てて、板紙いいかも、ありだなと思って。というのが、『Dark Continent』もなんですけど江戸堀印刷所さんにお願いをして活版で刷ってます。江戸堀印刷所は、あさひ高速印刷っていう印刷会社がやっていることもあって外だけ活版印刷ができて、中は母体のあさひ高速印刷さんでそのままオフセットで刷ることができるというのが良かったんです。

 

Y サイズ感もいいです。

 

K 寺田さんがサイズを『Dark Continent』より大きくしたいって言うから。

ーTORA4は表紙がかっこいいし絵もいい。それがきっかけで原画展を開催(吉村)

 

Y (書籍本体に)価格を入れないのは、こだわりなんですか?

 

K 書店さんでたくさん売りたいという気持ちはあるんですけど……。書店さんのためを思ったら、値段を本体に記載すべきですよね。

 

Y 最近の人は、値段を入れたがらないから値付けの作業が多いんですよね。ひと手間が増えて困ってるっていう。絵本とかは、値段が取れるようにシールになってたりしますよね。本に価格がついているって、もうマイナスなことなんでしょうね。

 

K 価格の記載のこともなんですが、カバーも巻いていないんです。本ごとにカバーの必要不必要があると思いますが、基本的には、本自身を守るために巻くじゃないですか。流通の途中になるべく傷まないように、お客さんに届けるという側面を重視した造本だと思うんです。ただ、そんなに綺麗じゃなくてもいいんじゃないかみたいな気持ちもあるんですよね。

 

Y 反逆精神ですね。

 

K 販売の時から、ちょっとくらい手垢ついててもいいんじゃない?みたいな。だから上製本だと普通はカバー付けますけど、kikenではつけてないですね。流通したり、人が人を通して本屋さんに届いていく以上、自然に破れるってことはありますよね。

 

Y むしろ、その方が好きみたいな人も一定数いるんですよ。ちょっと角破れてて、って言うと、それください! みたいな。まあ正直に事情を言えば、いいんですよね。

 

K 値段記載の話は本当に難しいですね。本は税込表示が義務付けられていますが、税って変わるので、刷り直したりするとお金かかるんですよ。

 

Y カバー掛け直したりとか。

 

K 本だけ、なんでそんなこと言われなきゃならんのだと思います。

 

Y 管理社会の弊害ですよね。

 

K わかるんですよ、面倒くさいって気持ち。

 

Y うちでは全部この後ろにね、値札を入れてます。

 

K すみません。

 

T (『Dark Continent』をめくりながら)なんか3年前のサインの方が上手だな(笑)。

 

K サインはいつ考えたんですか。

 

T ちょうど3年前、ここで展示をさせてもらったときですね。燿児のYは、ヨウジヤマモトのパクリ。誰も気づいてくれないけど。

 

K 初メディア出しですか、それ(笑)? 確かにちょっとぽいですね。Yoji & His Ghost Bandのロゴも手書きっぽいですよね。

 

T あれも手書きです。

Y 字がいいですよね、これ(『TORA TORA TORA TORA』P5)は筆ペンとかですか。

 

T 筆ペンですね。表紙に関しては東南西北kikenから「漢字が欲しい」と言われ、「虎」を描きました。前回の『Dark Continent』の時の「暗黒大陸」と同じ。

 

K ちょっと異国情緒みたいなのがあっていいなって思うんですよね。でもこの表紙があったから吉村さんが、原画展しましょうって言ってくれたんだと思います。

 

Y 3年前どうやったかな。

 

K でも表紙見たときに、いいですね! って言ってくれたのを覚えています。

 

Y かっちょいいですね。

 

K で、中見ていいですね、原画展しませんか?っていう流れだった気がする。最初、小西さん3の本をここに持ってきて、飛び込みで声をかけたら、いいですよって。

 

Y 営業も兼ねて大変ですね。編集、デザイン、営業、1人出版社。素晴らしい。

 

K でも営業不足で迷惑をかけてます。

 

Y 半分ぐらい売れてるんでしょう。

 

K そうですね、半分ははけてそうですね。

 

T 多分うちの在庫も半分以下ですね。

 

Y いいペースですね、出て2ヶ月で。乗ってるんじゃないですか。kikenから出したい!って人も出てきそうですよね。

 

K 『Dark Continent』の時とは、動きが違う気がします。

 

Y 重版した途端に、動きが止まるっていうジンクスないですか?(笑)

 

K やめてくださいよ、怖い(笑)。これからやろうとしてるのに。

 

Y 『肝腎※4』がまさにそうなんすけど。ほぼ丸々残ってます、隣の地下にですけど。

 

K 初刷り、重版どれだけですか。

 

Y 1000+1000。難しいですよね。

K 難しい。

 

Y 新しく本出したら、まず営業して、前に出したこれもありますと売り込む。

 

K 確かに。『TORA TORA TORA TORA』が出て、『Dark Continent』もやっぱ動くじゃないですか。いい動きだなと。

 

Y やり続けないといけないですね、列車は止まってはいけない。トンネルを抜けるまでは。

 

 

ー次回作の構想は、放蕩(ほうとう)おじさんのSFファンタジー(寺田)

 

K 次の構想はあるんですか。

 

T ありますよ。

 

Y どんなのですか。

 

T ある登校拒否の少女がいて、放蕩(ほうとう)おじさんが夏に帰ってくるんです。自由とは何かを教えているおじさんで、ある日おじさんと一緒に海岸を歩いていたら、綺麗な小石を見つけます。で持って帰って、その小石を使って夏休みの工作をおじさんと一緒に作ってみようよ、クラスの皆をあっと言わせてやろうよって。ある晩、その作った工作が光を放ち始めます。実は小石はある星の、大家に伝わる宝石だった。小石を取り返しに星の人たちがやってくる。その星の人たちがまだスマートフォンがなかった時代の昭和風の出立をしている。で、その国が一旦昔に戻ってみる……と言う話ですが、どうでしょうか。

 

K やばいですね、めっちゃいい!

 

Y スマホのない世界の人が来る。

 

Tそう、松本清張みたいな出で立ちの。

 

K おじさんは、イフマサカ※5さん? 自由を教えるおじさん。

 

T 違いますね(笑)

 

Y 『君たちはどう生きるか』みたいな。おじさんの存在がいいですよね。

 

K おじさんの幻想とも言えるけど。そういうおじさんになりたいというのもある。フラフラしてる、放蕩おじさん。

 

T 「学校なんて…行かなくていいんだ…!」って言う。

 

K 『TORA TORA TORA TORA』の時は、ちょっと違うけど、おばあちゃんがそんな感じでしたか。

イフマサカ

T 『TORA TORA TORA TORA』を描くときに、ジェンダーバランスについて何も考えてなかったんで、ちょっとホモソーシャル的な物語になってるんです。おばあちゃんのところ以外。

 

Y ヒロインが活躍するわけでもなく。

 

K (貫地椰子がヤンを)見守って「待ってるから」って(笑)。

 

Y ハリウッドデビューやアニメ化するときには、ちょっと考えなきゃいけないなって話をイフマサカさんとしてましたね。ちょっとキャラを変えてとか。

 

T 実はヤンが出勤する会社で、この人(P22参照)は本当は男だったんですよ。髪が短かったんです。伸ばして女性に変えました。

 

YK なるほど

 

K 寺田さんがこれまでインプットしてきた作品のジェンダーバランスが不均衡なんじゃないですか。

 

T やっぱ『TORA TORA TORA TORA』に出てます?

 

K 待っている人が男性だったら、違う印象になりますよね。

 

T そういう価値観に、今後はちょっと疑いを持ってかかる必要があるのかなと思います。

 

K それを壊すべきなのか、ですよね。私達がそういう昔の創作物に対する好ましいと思う感覚は、刷り込みかもしれなくて、とにかく1回オフにして見ないといけないということかもしれないですよね。例えば私が、ジェンダーバランスちょっと変えましょうよって言ったら、全く違う物語になったかもしれないですが。

 

変えても通る気はしますけどね。ヤンが女性だったとしても。内容が骨太なので、男だから進んでいくという話でもない気します。その辺りにも、寺田さんのが男やから行くぞ! みたいな男臭さは感じませんけどね。

 

K 『TORA TORA TORA TORA』のウーも、めっちゃ寺田さんにしか見えないみたいな(笑)。

 

T よく言われます。

 

K でも想像したら、トラは男じゃないですか、でヤンは女性にしてとなると、やっぱり男同士の友情みたいなところとは、ちょっと違う感情とか友情みたいなのを置き換える必要があるのかなと。別物なのかなと思います。

 

Y 届けたい相手によって設定は変えれるんじゃないですか。漫画雑誌に載るとしたら何がいいですかね。それによって多分編集者も作り方が変わると思うんですけど。

 

K でも女の子だったら、ラピュタみたいになりそうですね。

 

Y バルス的なね。『TORA TORA TORA TORA』は少年向けでもあるか。でも青年漫画。あとは抒情的なアフタヌーンか、モーニングか。

 

K アフタヌーン感ありますよね。言いたい放題(笑)。少年漫画読まないんですが、最近。魔法RPG系とか、転生系とかのファンタジーが流行ってるんですかね。

 

Y 多いですね。ブームみたいなのがありますからね。世界転生魔法ものとか。チート技術があって、転生後の社会で重宝されるとか。憧れを書いてるんでしょう。今の世の中がつまらなさすぎて、こうなったらいいのにっていう願い。でも漫画ってそういうものなのかもしれない。でもファンタジーはいいですよ、好きですよ。

 

K こんな世の中になったら困るという世界を描きつつ、そこから脱出するみたいなことですよね。

 

Y スマホのない世界とか。

 

K ビースタントという存在が、今後現れることあるんだろうかって思いますね。動物愛護の観点から言うと。

 

T 確かに、動物虐待に繋がるかもしれないですね。

 

K 虐待とか、何か動物が戦場に行かされるってこと自体、動物愛護団体の強い反発にあうことは間違いないですね。

 

T そもそもウーが動物解放活動家ですからね。

ー本は100年後も無くならない。100年後に読む誰かのために手元に置く(吉村)

 

T 本の可能性に関してお二人の思いを訊きたいです。

 

Y でもなくなることはないでしょう、向こう100年は。

 

K 漫画は電子に市場をめちゃくちゃ奪われていて、それこそ付加価値とか、何か買いたいと思わせるものがないと難しいですね。縦読み漫画も増えてるし。

  

Y でもやっぱり東南西北kikenの言ってた話と逆行しますけど、本はもちろん読むためだけど、読めたらいいじゃなくって、物としての存在があって、手元に置いておきたい。飾りたいみたいな欲求として、僕は肯定したいんですよね。

 

K そうじゃないと買わないですよね。

 

Y 本のインテリア化を悪く言う風潮もありますけどね。でも財産になるというか、自分が読まなくてもいいんですよね、極論は。子供が読む、100年後に誰かが読むとか。買ったことで、社会が動いてる。だから物としての魅力を上げていくのは、かなり大事だと思ってます。活版にしてますとか。もちろん『TORA TORA TORA TORA』にもこだわりがめっちゃ入ってる訳ですけど。それを押していくのは大事ですよね。

 

K 私はコンテンツを作りたいってことじゃなくて、本を作りたいからやっている。描き手を探している。そこに寺田さんがいて、絶好の描き手がいて、ありがたかったです。

 

Y すごく良い出会いがあって。だからこういう物語が僕も好きなんですけど。その次回作もありますしね。

 

T でも描くかどうか、まだわからない。

 

Y 原作者になるってのもある。誰かに描かせるとか。

 

T 描くのしんどいんですよ。

 

K まとまった長さを描くってことがしんどいんですか、ストーリーを構築するみたいな。

 

T 僕が怠け症なんですよね。

 

K でもマメなところもあるじゃないですか。

 

Y これはマメじゃないと書けないですよ。

 

T 漫画を描くのは、承認欲求ですね。全部見てほしい。俺を見てくれー!(笑)俺!俺!俺!俺!

 

K 今は、音楽で俺を見ろっていうのとは、モードが違うんですかね。

 

T 違いますね。

 

Y これだけ才能あったらね。

 

K 音楽があったからこそ、という作品な気もします。

 

Y リズム。確実にでもステップアップしてるじゃないですか、2作目で。次が楽しみですよね。

 

K 待ちきれないですよね(笑)

Y 初期衝動があって、次にぐっと洗練されたものができて。何かあの頃の『スラムダンク』を読んでるみたいな(笑)。絵が週ごとにメキメキ上手くなって。15巻くらいはかっこいい!みたいな。

 

K 『天使なんかじゃない』からの『ご近所物語』みたいなね。

 

Y 描きながら、ここは上手く書けるようになったなみたいなところは、ありますか。

 

T ありますよね。まだまだうまくなりたいです。

 

Y まだまだ良くなる感じがめっちゃ感じますね。

 

T まだ伸びしろありますかね。

 

Y 伸びしろしかない。

 

K 私は、漫画は連載っていうスタイルで描いていけたらいいんだろうなみたいな気持ちがちょっとあって。

 

Y 雑誌作りますか。

 

T おー。

 

Y 月刊誌?

 

K いや、やばい。無理でしょうかね。

 

Y 締め切りを作家に破られまくって、今月は薄いです。全員無理でした、って(笑)。今月はもう出さないとか。漫画雑誌ね。何か一緒に共同でやります?

 

K おおお! やばい。

 

Y ダブルネームで。

 

K 仕事やめよっかな(笑)。

 

Y 本業を? そこまで背負えないです(笑)。提案が怖くなる。

 

K じゃあ(仕事やめるの)やめます(笑)。

 

Y 季刊はどうです? 年4回。

 

K 月間は無理でしょ。まずは年4回とか、目標を小さくしていくということで。それはいいかもしれないですね。『ゆうとぴあグラス』※6を目指して、漫画雑誌作るのは。

 

T 小指 ※7さん載ってるやつ?

 

K そう

 

Y 僕はノウハウがないので、声かけはできますけど。この人の漫画見たいって人はいっぱいいます。

 

K 私がインデザインで作るので、制作を担当するのはいいじゃないですか。それいいかもしれません。

 

Y 楽しいですね。

 

K コミティアに出すっていう目標があるのもいい。TOKYO ART BOOK FAIRも出してもいいし。

 

T 締め切りがあるっていうのがいい。この人(東南西北kiken)は締め切りがないんで。僕が尻を叩くような感じでしたから(笑)。

 

K 私、締め切りがないんで。

 

Y まあいいやんってなるんですね。

 

T 締め切りいつ?って聞いたら、寺田さんのお好きにどうぞ、って。

 

K 締め切りを欲しがってくるんです。

 

T 締め切りをくれー!って。

 

Y いつまでも描いちゃいますね。催促するのが苦手なんですよ。

 

K 私も。

 

Y スケジュールを管理してくれる人が現れたらやりましょう。

 

KY 漫画の編集者の方、よろしくお願いします!

1.井手健介

東京で活動する音楽家。yoji&his ghost bandの2ndアルバム『ANGRY KID 2116』(2016年)ではコーラスとして2曲参加している。寺田とのMIKIKI対談はこちら→ https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/13351

​※2.金子仁司

元維新派俳優で、現在kondabaという劇団を主宰。寺田とは大学の同級生である。

 

​※3.小西彩水

漫画家、イラストレーター。東南西北kiken出版の第1号作家でもある。

※4.肝腎

FOLK old book storeから発行された100人による選書本。大津萌乃やunpis始め、東南西北kikenと寺田も寄稿している。

 

​※5.イフマサカ

福岡のシンガーで、大阪展のオープニングイベントに出演。寺田とは15年来の友人。

 

​※6.ゆうとぴあグラス

黒木雅巳主宰の漫画同人誌。ぴょんぬりら、森田るりらが参加する。

 

​※7.小指(小林紗織)

画家、漫画、随筆。

 

(書き起こし・編集/武田由紀子)

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